保育士配置基準の見直しはいつから?〜保育現場の大変な現状〜

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2023年3月、政府は「異次元の少子化対策」の一環として、1歳児と4・5歳児に対する保育士の配置基準の改善を2024年度から実施する考えを示しました。

  

発表された直後は「75年ぶりに配置基準が改定される!」と多くの保育士が喜びましたが、
「基準を引き上げると全施設で基準に見合う保育士を確保する必要が出て、現場に混乱が生じる可能性がある」という理由から、「保育士を手厚く配置した施設に運営費を加算して支給する」などとして、配置基準の見直しは否定していました。



しかし、2023年12月、政府は「次元の異なる少子化対策」の具体的政策や財源を盛り込んだ「こども未来戦略」案を公表しました。

そこで、来年度(2024年度)から保育士の配置基準の一部を見直すことが明記されました。


今回は「加算」ではなく、本当に配置基準が見直されるのかな?


 

 

 

2024年度 保育士配置基準 改定内容

2024年度から改善されるのは保育士1人がみる4〜5才児の人数で、現行の30人から25人に手厚くなります。

それと同時に3才児の人数も20人から15人に改定するそうです。


しかし、急な保育士の確保が難しい場合の配慮として、当面は従来の配置基準のままでも運営することは可能とする経過措置を付記しました。


ただ経過措置の期限は決まっておらず、利益追求タイプの事業者は、配置基準を改善することなく運営を続けていくだろうという懸念があり、不安は残ります。


2023年までの保育士配置基準の推移

保育士の配置基準は1948年に制定され、その間何度か改正されてきました。
参照:厚生労働省「職員配置基準」


4、5才の配置基準は1948年当時から一度も変わらず、「子ども30人に対して先生1人」のままです。

 

2023年度の保育士配置基準

子供の数先生の数
乳児31
1歳61
2歳61
3歳201
4、5歳301

 

保育士配置基準通りのクラス運営が困難な理由

特別な支援を必要とする子どもが一定数在籍する

小学生から高校生までの通常学級に在籍する児童生徒の中で、特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合が文部科学省より公表されています。


注:
この調査は学級担任等による回答に基づくものです。
発達障害の専門家や医者の診断によるものではなく、発達障害のある子どもの数の割合を示すものではありません。


小中学校で「学習面又は行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒数の割合

学習面または行動面で著しい困難を示す8.8%
学習面で著しい困難を示す6.5%
行動面で著しい困難を示す4.7%
学習面と行動面ともに著しい困難を示す2.3%

参照:文部科学省「特別な教育的支援を必要とする児童生徒」

保育園にも、特別な支援を必要とする園児は同じくらいの割合で各クラスにいると思われます。


3歳以上児のように1人担任の場合、支援が必要な場面に1人に掛かりきりになると、他の何十人の園児が放置された状態になります。

放置された園児たちは無法状態です・・・。
何か事故が起きてもおかしくありません。

支援が必要な園児にじっくりと関わりたいところですが、現在の配置基準では困難な状況です。

 

3歳以上児でもオムツの園児がいる

3歳以上児でも、トイレトレーニング中の子はいます。

お漏らしの処理やトイレの付き添いに手が取られる場面がありますが、1人担任の場合それが困難な状況になります。

担任がおもらしの処理等をやる場合、残された園児たちは無法状態です・・・。

急な体調の変化

感染症が流行る時期になると、次々と体調を崩す子が増えます。

急な発熱や嘔吐などに対応する際、保育士がギリギリの人数では手が回らない場面が出てきます。

嘔吐の処理は感染症を広げないためにも特に大切ですが、人手が不足していると丁寧な処理が出来ないため感染が広がる恐れがあります。

早番、遅番、欠勤などに対応するのが困難

早番や遅番で保育士が不足する時間帯、病気での急な欠勤や有給休暇で保育士が休む時、普段余裕がない配置基準では、その度にフリー保育士を配置したり、他のクラスと一時的に合同保育にするなどで対応するしかありません。

そんな時に保育中にイレギュラーな事が発生すると、対応しきれなくなってしまいます。


保育士が不足すると起きる問題

保育事故が起きる

昨今、保育現場での事件・事故が後を絶ちません。
その原因は、保育士が不足しているためです。

どんな職種でも人手不足は深刻な問題ですが、保育現場での人手不足は、子どもの命に直結します。

子どものためにも保護者のためにも、保育園が安心して過ごせる場所であるべきです。

人間関係が悪くなる


人間は余裕がなくなると、他人を思いやる気持ちが欠けていきます。

相手の行動や言葉掛けについイラッとして、態度に出てしまうこともあります。

子どもの手前、そういった態度は避けたいところですが、自分の気持ちがコントロールできなくなります。

子どもが安心安全に過ごせるように、毎日必死だからです。


保育の方法には正解はありません。
正解はいくつもあります。

保育士の数だけ保育の方法はあるので、その思いがぶつかり合い、トラブルになります。


保育士がピリピリしているクラスで、子どもが健全に成長出来るわけがありません。

威圧的な保育になる

少ない保育士でたくさんの人数の子ども達をまとめる場合、多くの保育士は「大きな声」で「威圧的」に保育をするようになります。

そうすると、子どもたちは大人の顔色を伺うようになります。

子どもが「チラッと」保育士を見るようになります。

子どもが主体性を持って生活するべき保育園で、主体性を持っているのが「保育士」になってしまいます。


保育園の現状に耐えられなくなったときは

外に目を向けてみましょう。
保育士は、様々な場所で活躍することが出来ます。

配置基準がなかなか見直されず、厳しい状況が続く場合は、自分を守るためにも新しい道を探してください。

 

 

 

まとめ

保育士配置基準が今のままでは保育事故を招くだけでなく、保育士の人間関係も悪くなり、保育士不足を加速させることになります。

子ども達のために、早急な保育士配置基準の見直しを望みます。