保育園に、こんな子はいませんか?
・クラス全体に話をしているとき、こちらを向いて聞いている様子だが理解できていない
・長い話の時、最後まで集中して聞けない
・遠くから話しかけても反応がない
このようなときに保育士として考えるのは、「難聴」や「発達障害」だと思います。
難聴かな?と思った時は耳鼻科で検査をします。
発達障害を疑う場合は、専門の医療機関で検査をします。
検査の結果、難聴でも発達障害でもなかった場合、原因は分からないままなのでしょうか。
先日、初めて「聞き取り困難性・聴覚情報処理障害」という言葉を耳にしました。
子供の2~3パーセントにこの障害があるとされています。
「聞き取り困難」ということは、難聴のこと?と思う人も多いと思いますが、耳鼻科では異常が見つからないのです。
では、「聞き取り困難症」とはどのような症状なのでしょうか。
「聞き取り困難症・聴覚情報処理障害」とは
音としては聞こえていても、言葉としては聞き取れない、理解できない・・・。
聞こえてくる音声を脳で処理をして理解する時に障害が生じている状態を「聞き取り困難症(LiD)」と呼びます。
聴力検査では正常と診断され、日常生活において聞き取りにくさを訴える症状のことを言います。
「聴覚情報処理障害(APD)」と呼ばれることもあります。
発達障害はその要因の約半数を占めるそうです。
発達障害の方は、必要な情報を一時的に記憶し処理する脳の働きが弱い傾向があるため、APDと発達障害は深い関係があると言われています。
【自閉症スペクトラム障害の場合】
表情や話しぶりなどから相手の気持ちをくみ取ることができないため、言葉の理解が難しい。
【ADHDの場合】
集中力の低さや気が散りやすいため、長文や早口で話されると文章の理解が難しい。
症状
- 聞き返しや聞き間違いが多い
- にぎやかな場所だと、人が話していることがわからない
- 聞こえているが、何を言っているかわからない
- 長い話を聞き続けるのが難しい
- 早口で言われると何を言っているかわからない
- マスク越しの会話が苦手
賑やかな場所や大人数での会話が特に聞き取りにくく、「聞いてない!」と誤解されてしまいます。
診断・治療法
生まれ持った特性の場合がほとんどで、治療法はありません。
専門的な検査・診療を行っている病院はまだ少なく、診断の環境もまだ整っていないのが現状です。
聴力検査は正常なので診断は難しいようです。
対処方法
環境調整
学校や保育園など集団に向かって話をする場合は、まず静かな環境を作り、マスクを外してから話すようにすると聞き取りやすくなります。
少人数で話す時は、なるべく近くで、ジェスチャーを混じえながら話すと伝わりやすくなります。
補聴手段を利用する
補聴器等の補聴器具で雑音を押さえると聞き取りやすくなります。
まとめ
聞こえに困難があるのかな?と思った時は、医療機関で検査をしてもらいましょう。
検査の結果異常がない場合は、もしかしたら「聞き取り困難症・聴覚情報処理障害」の可能性もあります。
子どもがこちらの言う事を分かっていない時、イラッとして「ねぇ!聞いてる?」と大きな声で言ってしまうことはありませんか?
そんな時は、様々な原因で「聞こえていない(理解していない)かもしれない」と少し落ち着いて考えてみましょう。
静かな場所へ移動して1対1で話してみたり、マスクを外して口元を見せながら話してみたり、対策をしてみましょう。
子どもは生きづらさを抱えているかもしれません。
それを和らげてあげるのも、専門性を持った保育士の役割ではないでしょうか。