保育士になる方法は、「学校を卒業する」か「保育士国家試験に合格する」の2通りあります。
どちらの方法で保育士を目指すか悩んでいる方もいると思いますが、今回は「学校」に通おうと思っている方に向けて、カリキュラム等を細かく調べてみました。
保育士国家試験との費用や学習期間などの比較に役立てればと思います。
保育士養成学校
保育士養成学校とは?
「保育士養成学校」とは、正式には「指定保育士養成施設」と呼ばれます。
都道府県知事によって指定された保育士を専門的に養成する学校です。
4年制大学、短期大学、専門学校などの種類があり、卒業と同時に保育士資格を取得することができます。
保育士国家試験を受験する必要はありません。
出典:全国保育士養成協議会|指定保育士養成施設一覧(令和4年4月1日時点)
学費
※関東圏内の私立4年制大学、短期大学、専門学校を参考にしました。(同一学校法人)
※初年度の学費には入学金を含みます。
※授業料の他に、施設費、教育充実費等、各諸経費を含みます。
4年制大学 | |
入学時 | 1,510,000円 |
2年 | 1,260,000円 |
3年 | 1,300,000円 |
4年 | 1,300,000円 |
合計 | 5,370,000円 |
短期大学 | |
入学時 | 1,550,000円 |
2年 | 1,260,000円 |
合計 | 2,810,000円 |
専門学校 | |
入学時 | 780,610円 |
1年後期 | 498,000円 |
2年前期 | 663,000円 |
2年後期 | 635,000円 |
合計 | 2,576,610円 |
取得できる資格
大学
幼稚園教諭1種、保育士、社会福祉主事、児童福祉士司、児童指導員、准学校心理士、ピアヘルパー(受験資格)、
認定心理士、図書館司書、学芸員、社会教育主事、レクリエーションインストラクター、キャンプインストラクター、小学校教諭1種、特別支援学校教諭1種
短期大学
幼稚園教諭2種、保育士
専門学校
幼稚園教諭2種
保育士
上級救命講習認定証※
ピアヘルパー※
※本校で講習受講または受験で取得することができます。
カリキュラム比較
4年制大学・短期大学・専門学校【共通科目】
※赤字は保育士国家試験の受験科目
保育内容総論 | 教育・保育課程論 | 乳児保育Ⅰ | 乳児保育Ⅱ | 保育内容・ 健康 |
保育内容・ 言葉 | 保育内容・ 環境 | 保育内容・ 人間関係 | 保育内容・ 造形表現 | 保育内容・ 音楽表現 |
社会福祉 | 社会的養護Ⅰ | 社会的養護Ⅱ | 障害児保育 | 子ども家庭福祉 |
子ども家庭支援論 | 子どもの保健 | 発達心理学 | 子ども家庭支援の 心理学 | 子どもの理解と 援助 |
教育相談 | 子どもの健康と安全 | 子どもの食と栄養 | 児童文化Ⅰ〜1 | 児童文化Ⅰ〜2 |
児童文化Ⅱ〜1 | 幼児理解・保育相談 | 体育Ⅰ〜Ⅱ | 保育原理 | 教育原理 |
各学校とも、1年生から実習があります。
4年制大学カリキュラム
英語Ⅰ〜Ⅳ | フランス語Ⅰ〜Ⅳ | 音楽実技 | 情報活用演習 (基礎) | 情報活用演習 (教職) |
日本国憲法 | 教養科目 | 児童学概論 | キャリアデザイン Ⅰ、Ⅱ | 児童学特論Ⅳ、Ⅷ |
子育て支援 ボランティア演習 | 音楽実技 (1、2年) | 保育の心理学 | 幼児と造形表現Ⅱ | 幼児と身体表現Ⅱ |
幼児と健康 | 幼児と環境 | 幼児と人間関係 | 特別支援教育総論 | 教育社会学 |
幼児と言葉 | 教育方法学 | 発達支援場面研究 | 幼児と音楽表現Ⅲ | 保育内容指導法 Ⅰ、Ⅱ(健康) |
保育内容指導法 Ⅴ、Ⅵ(環境) | 保育内容指導法 Ⅲ、Ⅳ(人間関係) | 保育内容指導法 Ⅶ、Ⅷ(言葉) | 保育内容指導法 Ⅸ、Ⅹ(音楽表現) | 保育内容指導法 Ⅺ、Ⅻ(造形表現) |
10個の領域
4年生になると、ゼミの他に10個の領域科目から1つ選択することになります。
- 幼児教育指導法解説開発
- 運動・健康
- 音楽表現
- 造形表現
- 多文化保育
- インクルーシブ保育
- 医療保育
- 乳児保育
- 心理
- 文化
例えば「医療保育領域」を選択した場合【医療保育専門士】や【認定病児保育専門士】の資格取得に向けて専門教育科目を学ぶことができます。
4年制大学は、様々な科目を広く深く学ぶことができます。
「音楽実技」は1、2年生の間、ずっと必修科目でした。
ピアノ初心者の人も簡単な曲なら両手で弾けるようになりそうですね!
短期大学カリキュラム
音楽Ⅰ | 音楽Ⅱ〜1、2 | 図画工作Ⅰ、Ⅱ | 国語 | 生活 |
児童文化Ⅱ〜2 | 児童文化Ⅲ〜1、2 | 特別支援の基礎 | 教育制度論 | 教育方法論 |
専門学校カリキュラム
保育者論 | 児童文化Ⅱ〜2 | 児童文化Ⅲ〜1、2 | 教育方法論 | 保育・教職実践演習 |
教育史 | 特別支援の基礎 | 保育相談支援 | 音楽Ⅰ | 音楽Ⅱ〜1、2 |
専門体育Ⅰ、Ⅱ | 図画工作Ⅰ、Ⅱ | 国語 | 英語Ⅰ、Ⅱ | 日本国憲法 |
保育士国家試験
保育士国家試験は年に数回実施され、筆記9教科と、実技3科目のうち2科目受験し、合格点に達すれば保育士になれます。
保育士国家試験の概要はこちら
養成校と国試組の保育士の違い
実習の有無
養成校は、一年生の時から実習があります。
国家試験に実技試験はありますが、実際に幼稚園や保育園で実習することなく資格を取ることができます。
国家試験組保育士の不安の一つに、保育現場を経験することなく保育士としてデビューすることです。
その対処法として、まずは「保育補助」として勤務してみるのをオススメします。
保育補助とはその名の通り、保育士の補助をする仕事です。
保育補助の仕事を通して、保育士業務の全体像を掴むことができると思います。
勉強する科目数
国家試験は9科目ですが、養成校は教養科目から専門科目まで幅広く学ぶことになります。
そして、専門科目は深く学びます。
その分保育士になるまでの期間が長く、国家試験で保育士になる場合は早い人で1年掛かりませんが、養成校では2年〜4年掛かります。
最後に
国家試験で保育士になった私の感想です。
「最初は養成校出身者に引け目を感じます」
資格を持っていても実習に行ってない分、書類の書き方も分からないし、保育の世界の常識も分かりません。
保育士デビューしてから数年は苦労すると思います。
しかし、1年2年と経験を重ねれば、実習に行っていないブランクは埋められます。
ピアノを習ったり、スキルアップの資格を取得したりすれば、さらに保育士として自身がつきます。
向上心を忘れずに、子どもたちのために素敵な保育士を目指していきましょう!